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SCENE8:準備【智孝】
そろそろ動き出してもいいな。
三年という年月をかけて得た情報と、先日起きた向こうからのアクションに、智孝は静かな闘志を燃やしながら決意した。
字守という一種の傭兵施設でもある幹部の人達からの命もあり、その計画を実行するためのチーム編成を考え、今日、講義の後に集まってもらった。
そのミーティングルームへ向かう前にどうしても話しておかなければならないことがあり、それを告げる相手を講義に呼んでいた。それが、晟と有羽だった。
教室に自分たちの姿しかないことを確認した智孝は、二人に歩み寄り声をかける。
「お前達、目立ち過ぎだ」
「ですよねー」
「ですよね、じゃない」
「えへへ。ごめんなさい。でも、なかなかいい質問だったでしょ?」
「まあ、な。あれで帳消しにしておく」
恐らく、遼太朗が鬼であるという真実を聞いたのだろう。晟は、講義の途中叫びに近い声を発し、皆の注目を一斉に浴びたのだった。
そのフォローを『質問』という形で有羽がしたのだが、タイミング良くそこで終了のチャイムが鳴った。
「その様子だと、遼太朗の正体を知ったくらいか?」
「ってことは、智兄も知ってたの?」
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