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さて、そろそろ本題に入るぞ。と話題を切り替え、資料を手渡した。
そこには三年前の『鬼狩り』についての詳細と、先日のイベントホールの詳細、そしてこれから受ける任務についてが記してあった。
鬼狩りについては、テストとして行われた字守のシステムを利用された可能性が高いということと、それを行ったのが『流天』であることを。
先日のイベントホール事件では、招待状は特殊な場所から入手した紙で作られていたことと、初めて死体から魄化したこと、そして流天との濃い関係性について。
最後、次の依頼は流天が絡んでいることを知った上で受けるという内容だった。
「鬼狩りについては、有羽から話を聞いた方が早いと思うが、ここでは事件の内容を詳しく知ることよりも、もっと重要なことがある。それは──遼太朗が鬼であるということを知っている人間がごく少数に限られているということだ。字守といえど知らない者の方が多い。晟がいい例だな。遼太朗と親しみ深かった者、ここの施設のトップ、あとは……同族の可能性だけだ」
智孝の説明に有羽の表情が険しくなる。
「そして、この招待状だが……他の字守の施設、緋華見で使われているものだった。特殊なライトで浮かび上がる透かしが入ってるんだが、それがあった」
「な……てことは」
「ああ。緋華見で晟を知っている人物だろうな。しかも、個人的な感情が強い奴だ」
あの音声から考えてもということだった。名指しをするくらいだ。相当、根深い執着心がある。一年前に向けられた晟への敵意も異常だった。
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