第1章*結婚

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そのめげないポジティブ精神は一体どこからくると言うのだろうか? 半ば強引に、たった1度だけ――それも両家の食事会で、そこで両親から彼と結婚しろと言われた――会った年下の女性と結婚することになってしまったと言うのに。 何より、当の本人――特にあたしは――が納得する間もなく結婚させられたと言うのに。 彼は早くもあたしを妻として扱って、こうして優しく接してくる。 あたしは朝比奈さんのことを夫だと認めてもいなければ、こうして冷たくしていると言うのに…一体、彼のめげない精神は一体どこからきているのだろう? 「どうせ半年も経たないうちに離婚するわ」 一生懸命に荷物を運んでいる彼の姿を見ながら、あたしは聞こえないように呟いた。 3組に1組は離婚していると言うこのご時世だ。 お互いのことを知らないのも同然で半ば強引に結婚させられたあたしたちも、離婚することは間違いないだろう。
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