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…。
……。
…か、か、か、か…!
蓮が固まっていると、サエの乾杯の音頭とともに、グラスの合さる音が室内に響いた。
慶太郎は固まった蓮のグラスに自分のグラスを重ねた。
固まったままの蓮の様子に、慶太郎はまた可笑しそうに笑い出した。
「蓮ってマジ面白いな」
ビールを一口呷ると、蓮の耳元に口を寄せた。
「…蓮さ、あんまり男と付き合った経験ないだろ?」
蓮の顔がみるみるうちに真っ赤になっていった。
「見た目はそれなりに遊んでそうなのにな」
「もう、慶太郎嫌い!」
真っ赤なふくれっ面で慶太郎を睨むと、右側の壁の方に顔を向けた。
自然に慶太郎と呼んでいた。
ごく自然に。
何こいつ!
本当ムカつく!
やっぱり、嫌なヤツ!
この時はまだ、プンプンした怒りの気持ちで興奮して、ドキドキしているんだと蓮は思っていた。
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