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慶太郎は蓮をじっと見つめていた。
蓮はどう話そうかと思案しながら慶太郎を見上げた。
さっきまでの表情とは一変して、少しだけ真面目な眼差しで見つめる慶太郎の瞳に。
蓮の心臓は淡く跳ねた。
有り得ない。
こんな嫌なヤツに、ドキッとしたなんて。
今のは無し!
慶太郎にドキドキなんて、絶対にしない…。
蓮は下を向くと頭を振って、その気持ちを振り払った。
「…ごめん、俺、嫌な事聞いたな」
蓮のその仕草が、慶太郎には嫌な事を蒸し返して傷を付けてしまったように見えた。
慶太郎は気まずそうに視線を外した。
「ごめんな」
そして、切ないような愛おしいような、そんな眼差しで蓮を見つめた。
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