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「そうか、良かった。少しは元気出た?」
蓮ははっとして、赤い顔で慶太郎を見上げた。
そこには、柔らかい笑顔で蓮を見つめる慶太郎がいて。
わざと?
落ち込まないように、わざと色々からかってきたの?
そんなの、ずるい…。
蓮の胸の中に、切ない想いが込み上げてきた。
なぜか涙が溢れそうで、そうならないように唇を噛んだ。
「…ありがとう…」
蓮はまた下を俯くと、たくさんの会話に紛れて消え入りそうな声で、そう呟いた。
胸の鼓動が止まなくて、苦しくて。
蓮はサングリアのグラスを手に取ると、グッと呷った。
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