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慶太郎は驚いた表情で蓮を見つめた。
しばらくして我に返ると、さっきと同じように、そっと目を伏せた。
そして、大きな右手で顔を拭って、蓮を見つめた。
その瞳は、濡れているようだった。
蓮は手を伸ばすと、慶太郎の目尻にそっと触れた。
「蓮、ずるいな…」
小さく鼻をすすって上を向くと、もう一度蓮を見つめた。
「反則だろ、それ」
そう言って、また上を向くと右手で顔を拭った。
「…決めた」
ほんの少しの沈黙の後、慶太郎はポツリと呟いた。
「休みはいつ?」
「…休み?…明日だけど」
それを聞くと、蓮の手を引いて、囃し立てるみんなの輪の中へと戻った。
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