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それは突然だった。
蓮は慶太郎の腕を掴むと、店の外に連れ出した。
外はみんなの言う通り、空から真っ白な雪が降り注いでいた。
「…ねぇ、泣かないで」
慶太郎を外の椅子に座らせて、そっと頭を撫でた。
「慶太郎、私は大丈夫だから…。私には、慶太郎だけだから。…ごめんね、一緒に行けなくてごめんね」
そう言うと、慶太郎を抱きしめた。
慶太郎が震えて泣いているように、蓮には見えた。
子犬のように大きな慶太郎が、小さくみえた。
「だからもう、泣かないで…」
慶太郎は蓮の胸に顔を埋めると、ただ黙って背中をきつく抱きしめた。
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