beginning

7/18
前へ
/188ページ
次へ
梅林町駅の改札を出て、2人は自然に手を繋いだ。 雪雲はすでに通り過ぎていて、濡れた道路だけが雪が降ったことを知っているようだった。 空気は、刺すように冷たい。 ものすごく冷え込んで、とても寒かったけれど、慶太郎と2人でいると寒さなんか全く気にならない、穏やかな陽だまりにいるような、ぽかぽかと暖かいような気がした。 蓮は慶太郎を見上げた。 口の両端が少し上がって、それは上機嫌に鼻歌を歌っている。 歩幅もちゃんと、蓮に合わせてくれている。 蓮の視線に気がついたのか、慶太郎が蓮に顔を向けた。 「…ん?どうした?」 蓮は立ち止まると、慶太郎をジッと見つめた。
/188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2487人が本棚に入れています
本棚に追加