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慶太郎は蓮から少し体を離すと、冷たい空気を肺の奥深くまで届くように吸い込んだ。
「…今日はだいぶ酔ってるし…その…俺も、男だから…」
苦しそうに眉をひそめて切ない眼差しで、慶太郎は、やっと蓮の瞳を見た。
「…その…今日は、具合も良くないだろ?送別会でも飲んでなかったし…そう、分かってるのに、俺の部屋に蓮がいたら…たぶん…抑えきれないから…。だから…」
慶太郎はきまりが悪そうに、恥ずかしそうに蓮から視線を外した。
「なんだ、良かった…。嫌われたのかと思っちゃった」
蓮はホッとしたように小さく微笑んだ。
「えっ!俺が?…蓮を嫌いに?なんで?」
「…私からキスしたから、慶太郎はそういうね、積極的…みたいな人が嫌で…。それで私のこと嫌いになったのかなって思っちゃった」
蓮は照れた様子で、はにかんだ笑顔を浮かべた。
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