2486人が本棚に入れています
本棚に追加
「…明日の朝、電話で起こしてよ」
蓮が罪悪感に駆られているとは全く知らずに、慶太郎は蓮に柔らかい笑顔を向けた。
「慶太郎は朝苦手?」
「そんな事はないよ。でも、蓮の声で起こして欲しいな」
「…じゃ、頑張る」
「蓮…朝苦手?」
恥ずかしそうに蓮は頷いた。
そんな蓮を慶太郎はやっぱり柔らかい笑顔で見つめていた。
「…ねえ、蓮?」
ふと、慶太郎が立ち止まった。
気がつけば、そこはもう蓮のマンションだった。
「明日…ってもう今日か…蓮のご両親と俺の両親に挨拶して…婚姻届を出して…それで、本当にいい?」
慶太郎は妙にかしこまって、蓮を見つめた。
「うん…明日、谷中蓮になるんだね」
「そうだね。…そうしたら、毎朝俺が蓮を起こすよ。だから…朝も夜もずっと一緒にいような」
蓮は泣きそうな顔で慶太郎をじっと見つめると。
ただ、頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!