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「本当に蓮は不器用なんだから」
タバコに火を付けながら、サエが言う。待ち合わせまでの時間、蓮の話を聞こうとカフェに入った。
みんな高校からの悪友だ。
言いたいことを言い合って、それで互いを受け止められる。
そんな心地いい関係だった。
「なんでそうやって強がるのかね。だからいつも、フワフワしたか弱そうな女に横取りされんだよ」
「…そうだよ。一度ぶつかってみなよ。好きだから別れたくないって言ってみればいいのに」
真っ赤な目で三人を見る。
それができれば苦労しない。もっと幸せになってるよ。
それに…原因は、それだけではないから…。
「横取りじゃないよ、心変わりされちゃうんだよ。それに、すがるなんてイヤだよ…別れたいって言われてるのに、そんなの…惨めだし…」
蓮の瞳から、また涙が溢れた。
「ほら、そんな顔じゃ恥ずかしいよ。今日は飲もう?ね?」
差し出されたティッシュで蓮が鼻をかんでいると、隣に誰かが座った。
「…バカな女」
そいつは蓮に一瞥をくれると、そう吐き捨てた。
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