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蓮はふくれっ面をしていた。
蓮の席。右側は壁で、左側には、なぜか慶太郎がいた。
「…向こう座ってよ」
蓮がそう言って睨むと、柔らかい笑顔を浮かべて蓮を見下ろした。
「しょうがないじゃん、クジ引きなんだから。なんだよ、バカな女って言ったから、まだ怒ってるの?」
「…そうやってデカイからって、見下ろす感じもムカつくの」
慶太郎は、ははっと楽しそうに笑うと蓮の頭に手を乗せた。
「蓮ってバカな上に面白いな」
「気安く名前呼ばないでよ!」
頭の上の腕を叩くと同時に、机の上にある蓮のスマートフォンが鳴り出した。専務からの電話だった。
胸の鼓動をごまかすように、蓮はスマホを手にした。
「はい、吉野です」
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