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桜の精霊の男の子は、桜の木の下よりは移動できない。
更に人や人の衣服にも触れられない。
どうしてもスカートの中が見たく、一生懸命、ふーふーと息を吐いてスカートが捲れるのを期待したが、とても無理だった。
その後、花見はお開きとなり、女の子も起こされてしまった。
桜の精霊の男の子は、来年こそ見てやると深く誓うのだった。
時は移ろい五月。
既に桜は散ったが温かくなってきたせいもあって、公園には子供たちが走り回る。
男の子は泥んこ。女の子も泥んこ。
たまに幼い女の子のスカートが捲れるが、桜の精霊の男の子はため息を吐く。
桜の精霊の男の子が好きなのは十八才から二十五才の妙齢の女の子なのだ。
「あー!また、ため息吐いてる!」
たまに桜の精霊の男の子が見える子供がいる。
そういう時は、そっと人差し指を口にあてて微笑む。
子供たちは、いつも「分かった!」と走り去っていく。
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