EP9:出逢いは突然に

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一方魔界コーキセリアでは、ウィード奪還作戦のために全属性の魔王が集められていた。 「これより、我が姫ウィード奪還の為、天界アーキエルへ進軍する!炎王フラン!風王ラヴェント!」 「ここにいるよ、王様」 「王命とあらば」 「貴方たちにはアーキエルの正面ゲートの突破及びその周辺の天使の撃墜を」 「「新王の仰せのままに」」 赤髪の青年フラン、緑髪の女性ラヴェントは各々の姫と共にセンチェルスに跪き頭を垂れその命を受ける。 「水帝アクア! 地帝アース!」 「「此処にいるよ! おにーさん!」」 「貴方たちには街の天使たちの行動制御をお願いします。あの子はとても優しい子ですから、住民に危害が及べば泣いてしまいます。ですからなるべく出来れば半殺し程度で収めてください」 「「はーい!」」 青髪の幼い少女アクアと茶髪のアクアと同じくらいの少女アースは手を繋ぎセンチェルスに跪くと嬉しそうに笑いその命を受ける。 「光帝ラミール! 聖帝セイティ!」 「「ここに」」 「貴女方には私についてきて頂き、アーキエルの城へ向かってもらいます」 「「仰せのままに」」 九尾で白い髪の美しい女のラミールと同じく九尾で薄い黄色の髪をした女のセイティは小さく頭を垂れる。 「雷帝サンティ! 闇王ロード!」 「は、はい! 俺にできることならなんでも言ってくださいっ!」 「ウェルナーに無茶させたくないんだけど」 「まぁまぁ、父さん助けるためだから、ね?ロード」 「サンティ、貴方にはラミールとセイティ共に私と城へ。城にいる近衛兵隊を撃墜してください」 「了解ですっ!」 「ロード。魔王に戻してあげた挙句、天使との契約までさせてあげたんですから言うこと聞いて頂きますよ」 「はいはい。で? 僕は何をすればいいわけ?出来れば戦闘から外して貰えると嬉しいんだけど」 「貴方にはアーキエル城を闇の世界へ落として頂きます。それくらい出来るでしょう?」 「まぁ、できるけど。ウェルナー、大丈夫?」 「ん、大丈夫。同胞を手にかけるのはちょっと気が引けるけど、仕方ないし」 金髪の大柄な男がやる気な中、隣のロードは面倒くさそうにため息をつきながら仕方無しに了解する。 「そして、無王ミーウェル」 「はいよ」 「我らは何をしようか?」 「ウィードからの頼まれごとをお願いしたいんです」 「頼まれごと?」 「あー、例の天使の捕獲か?」 「はい。それが完了後、ウィードを奪還しに向かいます。天使長メタラエルの抹殺と共に」 各魔王の先頭にいたミーウェルは任せろと告げ、隣のエルザークを抱き寄せる。 自分に跪く魔王たちを見下ろしセンチェルスは満足気に笑うとぱちんと指を鳴らす。 すると各魔王の後ろに数十人規模の魔族たちが現れセンチェルスは好きに使いなさいと告げる。 「それと……」 「なんだよ? まだなんかあんのか?」 「ええ。……ディスラ、アカツキ、アーメイ、出てきなさい」 「はーい! いこ! ディスラ! アカツキ!」 [仕方ねぇな] [やったやった! やっとごはんたべられる!] 玉座後ろに待機させていた三人を呼ぶとアーメイに連れられ銀狼姿のディーラスと銀狐姿のアカツキが魔王たちの前に現れる。 センチェルスは彼らを紹介すると戦闘に加わって貰うと話した。 「さぁ、始めましょう。皆さん。そして思い知らせてやりなさい。私の大事なモノを奪ったその罪が如何に大罪であるかを! その罪を犯したが故にすべてを失う屈辱を!」 《新王センチェルスの御心のままに!!》 そうしてセンチェルスの指揮の元、魔族たちは天界へと進軍する。 全てはウィードを取り戻す為。 大切なモノを奪還するため。 第二次天魔大戦が始まる……──。
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