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EP10:第二次天魔大戦
暗い暗い地下室。
大きな魔法陣の上で二人は自身の魔力をこの城を守る守護壁へ注いでいた。
祈りは力にとは言ったもので、両手の指を組合わせ目を閉じ注がれていく魔力は光の粒子となり床の魔法陣を伝って城全体へ浸透していく。
ウィードからは薄桃色の光の粒子が、ラグシルからは真っ白な光の粒子が各々発せられそれが部屋の中を微かに照らしていた。
天界ではコーキセリアの新王であるセンチェルスが率いる魔王たちが既に攻め入り戦いが始まっているというのにもかかわらずこの地下室には音も何も届かず、しんと静かな空気が漂うだけ。
けれど、たしかに彼はここに来ているとウィードはその微かな気配で察しており早く早くと気持ちを昂ぶらせていた。
「……嬉しいのはわかるがあまり昂ぶらるなよ。一気にもってかれるぞ」
「う、うん……」
魔力の高ぶりを感じたのかラグシルは隣にいるウィードにそう忠告する。
けれどそんな彼からも同じくらいの量の粒子が発せられており一緒だねとウィードは笑いかけ、ラグシルはお前と一緒にするなと顔をそむけてしまう。
「ね、ラグシル。早く来るといいね、サンダルク」
「ふん、来たら殴ってやる。仕事を放り出してなにやっているんだってな」
「もー素直じゃないなぁ。ま、ラグシルらしいけど」
「うるさい。いいから集中しろ」
「はーい」
そうして二人は祈る。
天魔戦争での天使側の勝利というものではなく、ただ自分を助けに来てくれる彼らの無事を……。
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