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「あ! センチェルスさん、ウィードさん! ほら、ルナ! 来たよ!」
「あ? やっと来やがったか! ウィード! センチェルス! それとガキ共も一緒か!」
「ルナにぃ」
「アルにぃ! きましたですよ!」
「栖、凧、久しぶり」
「おう。ほら着替えんぞ。ウィード」
「こらー! ルナはセンちゃんでしょ! うーちゃんはアル! さ、いったいった!」
実験所につくと栖と凧とレビータが出迎えてくれる。
変わらないその姿に懐かしいなと思っていると凧がウィードの、栖がセンチェルスの、それぞれの手を取り別々の実験室へと連れて行く。
残された咲兎と羽衣はレビータに連れられ写真用の服に着替えさせられる。
「コルセット締めるよ、ウィードさん」
「う、うんっ……」
えいっとコルセットの紐が引っ張られ腰とお腹周りが締め付けられる。
プリンセスラインの真っ白なドレスを着た自分の姿が姿見に映り本当にお嫁さんになれるんだ、と改めて実感する。
肌触りのいい布にたくさんのシフォンやオーガンジーが重ねられ、中にワイヤーパニエを履いているおかげかスカート部分のラインはふんわりとしながらもちゃんと形を保っていて、広く開いた空間が中にあるのでとても歩きやすい。
コルセットを締め終わると背中に大きなリボンを作り、大きく開いた胸元を飾るようにダイアモンドが輝く豪華なネックレスがつけられた。
「これが…俺…?なんか別人みたい…」
「きれいだよ、ウィードさん。とっても」
「そう……? 俺、きれい……? センチェルスの隣に立って恥ずかしくないくらいきれい?」
「うん。お似合いだよ、ウィードさん。さ、ヘアセットするからこっちに座って」
「うんっ!」
凧にそう言われ嬉しそうに笑うウィードは用意された椅子に腰掛ける。
凧はブラシで彼の長い髪をブラッシングするとスタイリング剤を吹きかけ、髪の毛を何段かに分けると器用に結い上げくるくると側頭部に巻きつけ髪の毛でお花を作る。
残った髪はヘアアイロンでくるくると巻いていくと暫く待ち、外すと崩れないようにスタイリング剤のスプレーを吹きかける。
「うん、おっけ」
「わぁ……! なんかお姫様みたい!」
「そうだね。じゃあお化粧しようか?」
「お化粧まで出来るの? 凧ってすごいね!」
「まぁこのために無理矢理技術を叩き込まれたからね。さ、目を軽く閉じて?」
「んっ!」
凧に言われた通りに静かに瞼を閉じる。
化粧が初めてというわけでもないのにやけに緊張する。
ぽんぽんと肌に柔らかいスポンジが当たる。
化粧水と乳液が終わって下地を塗り終わった肌にファンデーションを乗せているようだ。
それが終わると目元に筆で乗せて、それが終わると唇に紅を塗られる。
目を開けていいよと言われると鏡に映ったのはこの世の者とは思えないくらい愛らしく天使のような姿の自分で。
驚くウィードにどう?と凧は声をかけ立たせる姿見の前に彼を連れてくる。
「かわいいよ、ウィードさん」
「これが……俺……?」
「そうだよ。これがウィードさん。さ、センチェルスさんもそろそろ終わってる頃だし、いこっか?」
「う、うん……!」
凧に連れられウィードは更衣室替わりにしていた実験室から出て行った。
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