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自宅に戻るとウィードを部屋のベッドに寝かせ子供たちを彼の傍に置き、目が覚めたら呼んでくださいと言いつけるとリビングへ降りていく。
そこには呼びつけたリーヴァがいて、何の御用ですか?と尋ねる彼をソファーに座らせるとエルフィーユであった事をわかる範囲で話す。
「そうですか……ウィードくんが……」
「とりあえずあのままだとあの子が壊れてしまう可能性があったので記録は書き換えましたが……彼女が一体何をしてくるのか……」
「少し探ってみますね。……シュヴァルツ、ヴァイス」
「はい。お兄様」
「ボクらの出番だね、兄様」
リーヴァに呼ばれ現れた彼らにルーシーの情報を与え彼女を監視するように指示を出す。
2人は承知しましたと軽く会釈するとその場から消える。
センチェルスは初めて見る彼らにあの子たちは?とリーヴァに問いかけ、弟と妹ですと答え安心してくださいと告げる。
「家族は皆殺し、そう言ってませんでした?」
「父と母は。あの二人には僕に別の道を教えてくれた恩もあったのでとりあえずは生かしておいたんです。そしたらどこで手に入れたかは知りませんがいつのまにか異形になってまして、災厄の双子という二つ名の元僕の指示で暗殺業をしてもらってます」
「なるほど……」
「あ、でも僕ほどの能力の使い手じゃないのですぐに始末できますが……いかがしますか?」
「そう、ですね……ウィードに傷さえつけなければどっちでも」
「わかりました。僕も一応仕事の方は続けてますので僕がいない時はあの二人に守らせますか?」
「そうですね、お願いします」
「わかりました。二人に言っておきます」
そうして話していると咲兎が二階から降りてきて神妙な顔でやってくる。
どうしたんですか?と駆け寄るとお母さんが……と俯いてしまい何かあったと察したセンチェルスはその場の守護をリーヴァに任せると咲兎を抱き上げ寝室へと戻っていく。
「ウィード、どうかしましたか……?」
「あ、センチェルス……」
部屋に入るとウィードが目覚めておりぼーっとした様子でこちらを見ていた。
咲兎を下ろし彼に駆け寄りどうしました?と声をかけると思い出せない……と俯いてしまう。
「朝起きて……おれ……エルフィーユに……それで……」
「四人で塔に弔われているミーヤとウェーラとヒカルの弔いに行ったんですよ」
「そうなんだけど……。俺……エルフィーユに行ってからの記憶がぼんやりしてて…何かあった気がするんだけど、何も、思い出せなくて……」
「思い出せないのならそんなに大切な事じゃないんですよ。だから気にする必要はないんです」
「お母さん、お父さんのいう通りだよ?」
「お母さんは気にする必要ないのですよ。だからいつもみたいに笑ってくださいです……」
「羽衣……咲兎……」
「ね、2人もそう言っていますし、気にしなくて大丈夫ですよ。ウィード」
「センチェルス……」
大丈夫ですよと彼を抱き寄せ優しく頭を撫でそのまま頬を滑らせ顎を掬いあげると触れるだけのキスをする。
それでも浮かない顔をするウィードに三人は困ったような表情を見せ、どうしたらと考えるもウィードは少し一人になりたい部屋を出、家を出て行ってしまう。
家を出て行っても特に行くあてなどなくただ街の中をふらふらと歩くだけ。
誰かにぶつかってもただ歩いていた。
「あれ? 桜花ちゃんじゃん、どうしたの?」
「……サンダルク?」
「お久しぶりです、新入りさん」
「ミカちゃんも……?」
「どうした、暗い顔して。結婚して早々にコーキセリアの王と離婚でもしたか?」
「ら、ラグ……! そういう事行っちゃだめだよ!? ね、桜花ちゃん、少しそこのカフェでお茶でもしようか? お話し聞くよ」
偶然出会ったサンダルク達に声を掛けられウィードは誘われるままカフェに入ると何があったのかを覚えている範囲で話す。
その話しを聞きラグシルは何かされたんじゃないか?とさらっと答える。
「あいつは人の記憶を弄るなんてお手の物だろう? そうしてお前の記憶も弄られたんじゃないのか?」
「俺の、記憶……?」
「あー、確かに。あの人なら桜花ちゃんの都合の悪い記憶消しちゃうだろうなー」
「センチェルスさん、新入りさん守るためなら手段を選ばないですから」
「俺を守るため……?」
「そ。キミを助けるために天界に戦争仕掛けちゃうくらいだし。きっとその消した記憶も桜花ちゃんを守るために消したんだとおもうよ。あの人、桜花ちゃんの笑った顔が好きって言ってたから、きっと苦しそうな顔をした桜花ちゃんを見ていられなかったんじゃないかな?」
「そっか……」
「まぁ、あれだ。あいつはお前が大事だからお前が傷つくのを見たくないんだろう。だから都合の悪い事は消す。ただそれだけだ。それがあいつなりのお前を守る方法なんだろう」
「俺を、守る方法……か……」
そっか……と何処か引っ掛かっていたものが取れたようにスッとしたのかウィードはやっと笑って。
解決したみたいだねとサンダルクに言われ彼は小さく頷いた。
そこからは少しの間だけ他愛もない話をしながら頼んだ紅茶とショートケーキを食べ、三人と別れると少し晴れた気分のまま街の中を散歩し始めた。
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