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EP4:別れ、そして……
それから数ヶ月。
ウィードの状態も安定したところでリミッターの埋め込み実験が執り行われることとなった。
リミッターは左目に義眼として埋め込まれる事となりその結果どんな副作用が出てくるか予想すら出来なくて。
その日を迎えてもウィードはまるでセンチェルスを信頼しきっているように安心した様子で台の上に座っていた。
「大人しいですけど、怖くないんですか? 貴方の左目抉り取って義眼にするんですよ? 見えなくなる可能性だってあるんですよ?」
「ん? うん。センチェルスがやってくれるんでしょ? なら大丈夫だよ」
「どんな自信ですか……」
「だってセンチェルスは天才なんでしょ? リーヴァから聞いた。なんでも出来ちゃう天才って。だから絶対に失敗しないって」
「そうだよ、ウィードくん! センチェルス様は天才なんだ! 神様のような存在なんだ! だから大丈夫! 絶対!」
「過大評価し過ぎですよ、リーヴァ。まぁ私が天才なのは認めますけど。絶対というものはこの世に存在しないんですよ? わかってます?」
「センチェルス様に至ってはその存在しないものすら存在しないので大丈夫です!」
「そ! センチェルスだから俺、安心して受けられるんだよ? だからお願いね?」
「はぁ……。貴方達のその過大評価、どうにかなりませんか? 失敗したら落ち込むじゃないですか」
やれやれと実験の準備をしながらリミッターとなる金の義眼に魔力を込めていく。
その間にウィードは台の上に仰向けに寝転がりいつでもどうぞと体の力を抜く。
それを見てリーヴァは彼の瞼やその周りに麻酔を打ち込むと、実験実行者である彼に目で合図を送り、小さく頷くと彼がウィードの耳元で少しの間だけ、おやすみですよ?と声をかけ眠るのを見届ける。
「ウィードくん、眠りましたよ。センチェルス様。それにしてもすごいですね。全身麻酔じゃないのにあの言葉だけで眠ってしまうなんて」
「ウィードは暗示にかかりやすいんですよ。……さて、始めましょうか、リーヴァ」
「はい。センチェルス様」
そう合図するとセンチェルスはメスを手にし、麻酔の効いている左目の瞼を切り開くと、そこから丁寧に左目を取り出すと義眼をその空洞にはめる。
義眼の固定をリーヴァに任せ、センチェルスは杖を出現させその義眼や傷口を元の通り見えるように時間を戻していく。
一つ一つ神経を繋ぎ合わせていき傷口が跡形もなく消えるとリーヴァに器具を外させる。
あとは目を覚ますだけと一息つくと心配そうにリーヴァが隣にやってくる。
「大丈夫ですよ。今の私はこの子の時とリンクして此処に居るので。自分の時を代価として使う術ではありますが、現状は彼の時を少し借りながら使えてますから」
「ですが……」
「……わかりましたよ。なら少しだけ貴方から時を頂いてもいいですか?」
「は、はい! 喜んで!」
自分にも何か出来ないかと言わんばかりに俯くリーヴァに苦笑し、そう言うと嬉しそうに笑う彼にキスをし、少しだけその時を分け与えてもらう。
これでいいと唇を離すと恍惚の表情を浮かべるリーヴァの腰を抱き寄せそのまま深く絡めとるようなキスを繰り返した。
突然のことにリーヴァは呼吸もままならない状態で必死にそれに応えていて。
唇が離れる頃にはリーヴァは自力で立つことすら出来なくなっていて、その場にへたり込んでしまった。
「せ、んちぇ、るすさまぁ……な、にする、んですかぁ……」
「おや? お気に召しませんでした? あまりにも貴方が無防備に私をぼーっと見ていたものですからしてほしいのかと思ったのですが?」
「そ、うです、けど……っ、こんな……いきなり、された、ら……僕……っ」
「我慢できなくなってしまいますか? そうですよねー。貴方、最近私の名前呼びながら慰めてましたし」
「あっ、あれはっ……ちがっ……!」
「何が違うんです? 私とそういうことしたいんでしょう?」
「そ、れはっ、あ、あの……僕……っ」
「違うんですか? なら先に進むのはやめましょうか。せっかくこの私が相手をしてあげようと思っていたのに残念ですね」
やれやれとリーヴァから離れると眠るウィードを抱き上げるとセンチェルスは部屋を出ていこうとする。
そんなセンチェルスにリーヴァは本能的に置いていかれると思ったのか彼の足にしがみつき行かないでくださいと叫んだ。
「センチェルス様……っ」
「なんですか? リーヴァ?」
「お願いですっ、僕、身体が熱くてっ、お願いです、この熱を鎮めるお手伝いをして頂けませんか……っ?」
「お手伝い、とは? ちゃんと言わないとわかりませんよ? 貴方は私と何がしたいんですか?」
自分の足にしがみつき頬を赤らめたまま見上げるリーヴァをただ見下ろしそう畳み掛けるように問う。
リーヴァは唾を飲み込み言葉を紡ごうにも羞恥心があるのかその言葉を発することが出来なくて。
仕方ないですねと肩を竦め進もうとするセンチェルスの足を行かないでとしっかり抱き締めると意を決したように言葉を発した。
センチェルス様とセックスしたいと。
その言葉を聞きセンチェルスはにやりと笑いよくできましたとリーヴァを担ぎ上げそのまま部屋へと戻る。
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