卑屈

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卑屈

「今度の新人さあ、変なんだよね。とろいしさ、会話にならないの。」 「えーっ、そんな子の教育係り頼まれたの。やだ、絶対に無理。」 変わらない、何の変哲もない つまらない そんな形容詞がいっぱい付く私の毎日。 就職して3年。毎日通勤して仕事して帰るだけ。友達はいない。彼氏もいない。 「やだー。無いものばっかりじゃない。」 1人ごちて苦笑い。また、空を見上げる。 青い空は心が晴れる。白っぽい花曇りの空は気持ちが落ち着く。黒雲が立ち込める様も素敵。 入社した初日に、仕事を教わることになった先輩に話しかけられて、緊張で喉がからからで、 「ふへえ。」 みたいな声が出てしまい、たちまち変な新人のレッテルを貼られた。 翌日には、すべての部所に知られるとことなり、いよいよ誰とも話せなくなった。仕事は聞かないと分からないから、おそるおそる聞くのだけれど、分かってる、分かってるんだけど普通に聞けない。 「あっ、あのう先輩。」 と言っただけで、もう嫌な顔をされる。ひどいときは聞こえているのに、無視して立って何処かへ行ってしまう。見かねた係長が、根気強くぼつぼつ教えてくれた。 「あー、今日も疲れた。」
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