第9章 絡みつく呪念

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「わかってる。だけどもう少しやってみるよ。それでだめだったら申し訳ないけど手を引こうと思っている」  師匠でさえ引き受けなかった依頼だ、自分で簡単に解決できるものではないということはわかっている。  それに、師匠から口うるさく言われてきた。  できないと思ったらすぐに手を引けと。  この仕事は努力とか頑張りだけではどうにもならないこともある。  霊に悩まされている人を救ってあげたいという気持ちがあっても、どうにもならないことも。  自分の限界を見極めることも大切なことだ。  けれど、助けを求める小綾の声が耳から離れないのだ。  なんとかしてあげたいという思いが、心のどこかにあった。
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