3691人が本棚に入れています
本棚に追加
『冬弥が金縛りだと! 解けないのか?』
『さっきから試みてるけど、かなり手強い』
霊感が人一倍強く、雑多な霊を意図せず引き寄せてしまう冬弥だが、守る術も持っている。
そのため、滅多なことでは金縛りにかかることはない。
つまり、冬弥の能力を上回る相手が側にいるということである。
冬弥は息を飲む。
枕元に誰かが立っている気配を感じた。
これまでになく突き刺すような痛みが手首に走る。
唯一、動く視線だけを動かすと、一人の女がこちらを見下ろすように立っていた。
白い着物を着た髪の長い女性。
田上高志を死に追いやろうとし、心愛や穂波恭子、丸山亮一に取り憑き、呪いの廃神社の帰り道では自分を崖下に誘うよう立っていた女。
間違いなく、彼女こそ小綾だ。
最初のコメントを投稿しよう!