第9章 絡みつく呪念

21/28
前へ
/383ページ
次へ
『冬弥が金縛りだと! 解けないのか?』 『さっきから試みてるけど、かなり手強い』  霊感が人一倍強く、雑多な霊を意図せず引き寄せてしまう冬弥だが、守る術も持っている。  そのため、滅多なことでは金縛りにかかることはない。  つまり、冬弥の能力を上回る相手が側にいるということである。  冬弥は息を飲む。  枕元に誰かが立っている気配を感じた。  これまでになく突き刺すような痛みが手首に走る。  唯一、動く視線だけを動かすと、一人の女がこちらを見下ろすように立っていた。  白い着物を着た髪の長い女性。  田上高志を死に追いやろうとし、心愛や穂波恭子、丸山亮一に取り憑き、呪いの廃神社の帰り道では自分を崖下に誘うよう立っていた女。  間違いなく、彼女こそ小綾だ。
/383ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3691人が本棚に入れています
本棚に追加