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『小綾さん、だよね?』
冬弥の呼びかけに、けれど小綾は言葉もなく無言でこちらを見下ろしているだけ。
ふと、冬弥は心に引っかかりを覚え訝しむ。
この屋敷に来た最初の晩も小綾はこうしてはっきりと姿を現してきた。
だがその後、自分の首を絞め殺そうとしたのは、小綾の姿ではなく黒いもやをまとったような人型のもの。
もしかしたら自分の首を絞めたのは小綾ではなかったのか?
では、いったい誰だったのか。
殺してやる。
わたしの邪魔をするおまえも……と言ったのは誰?
そう、今も小綾の影に隠れるようにして、もう一人別の誰かが側にいる。
その者は、柚木家にやって来た冬弥を歓迎していない。
それどころか、冬弥の死を願っている。
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