第2章 憑かれた家

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 家全体をうっすらと覆っていた影。  それが玄関に入るなりさらに濃く感じられた。  家中に漂う不快な気配と重苦しい空気。  少しでも霊感がある者ならこの空間にいることじたい、息苦しさを抱くだろう。 「さっそくですが家の中を見て回ってもよろしいですか?」  冬弥は鞄から数珠を取り出した。 「ええ、どうぞ。お願いします」  冬弥は植村さんの承諾を得て、一通り家全体を見て回った。  やはり、幸恵さんの植村良子に対する強い思いと気配が漂っている。  嫉妬。  羨望。  そういった感情がそこかしこに渦巻いていた。  夫婦の寝室。  子ども部屋。  客間。  どの部屋からも、幸恵さんの存在が残されていた。  一通り家の中を見て回り、最後にリビングに入った冬弥はああ、と声をもらす。
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