第1章 霊能師 稜ヶ院冬弥

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「これは……」  口に運ぼうとしたフォークを持つ手を冬弥はとめた。  フォークに絡めたパスタがほどけて皿に落ちる。  言いかけて口を噤んでしまった冬弥に、孤月は眉をよせた。 「ただの事故ではないね」 「ふむ」  急カーブを曲がりきれずとアナウンサーは言っているが、そうではない。いや、そうなのかもしれないが、実際は少し違う。  そこに大きく何かの手が加わっていた。だが、殺人事件とも違う。  それはつまり――。 「霊的なものが絡んでいる」 「視えるのか?」  孤月の問いかけに冬弥はうなずいた。  テレビの画面には事故現場で大破した車が映し出されていた。  フロント部分は大きくへこみ、ガラスが粉々に割れ飛び散っている。  頭から真っ逆さまに崖下に突っ込んでいったのだろう。  一瞬だけ映ったひびの入ったフロントガラスには、血が付着していた。  現場の状況からしてかなりの事故だというのは一目瞭然であった。  冬弥はわずかに目を細める。
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