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〔Digital encounters〕
十二月某日・更新。
「お、『カワバタさん』から書き込みがしてあるぞ、と」
真田(さなだ)祐(ゆう)吉(きち)はクラッカーのような舌打ちを交えてそう言うと、マウスでドラッグをコメント欄に定めダブルクリックした。
「久しぶりに[ストーリー]が更新できるな。カワバタさんは毎度面白いプロットを持ってきてくれるからな」
独り言も快活に、真田はマウスを握りしめながら、パソコンのモニターを見つめる。
「うん、うん。やっぱりカワバタさんらしい。この飄々とした文章。ま、ちょっと今回のストーリーの傾向とは、流れ的に合わないかも知れないけど、何とか組み込ませてもらいましょう、と」
はたして一人満足気に真田は、ハンドルネーム「カワバタさん」がコメント欄に書き込んだ文章を読みながら、コーヒーを片手にさえずっている。
時計の針は間もなく午前一時を指そうとしていた。
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