プロローグ

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プロローグ

「牛タン、2人前!」 最初に来た、肉の盛り合わせをペロリとたいらげると、すぐに店員に追加を告げる。 幼さ残る風貌でありながら、 1人で焼肉を焼いては頬張るその姿のギャップに、 店内に居た男性陣はその少女を気にせずには居られなかった。 「あ、あとハラミも!」 少女はそれを気にする様子もなく、 席を離れようとする店員を追いかけるようにさらに追加を重ねた。 もちろん周囲から見られることは百も承知だ。 そもそも、彼女の仕事は他人から見られる仕事。 その仕事をこなすためには、しっかりと食べることが不可欠なのだ。 食べることは生きること。 生き物の命をいただく。 そして、私は今日も生きていく。
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