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「じゃ、またね!」
「また明日?!」
茉莉紗とは方向が逆なので校門でバイバイして私は自転車置き場に向かう。
「真弦!」
「おっせぇーぞー!」
「ごめんごめん!友達と話してたらついつい」
「なんだ、もう友達出来たのか」
「うん、黒帯の見た目は可愛いんだけどめちゃくちゃ強い女の子に助けられて友達になったの。」
「なにそれめっちゃ気になるからお話聞かせてよ。」
「ん、わかった」
私はちょっと前の出来事を話すと彼は大笑いした。まぁ、予想通りの反応だけど
。自転車は大通りを抜け朝降りた坂道に辿り着く。彼はギアを軽くして坂道を軽快に漕ぎ進む。風が丁度いいくらいに気持ちよくて眠っちゃいたくなった。
「おーい、めぐさーん、寝てないすかー?」
「おーきてますよぉー!」
「そーです!か!!」
「そーですよぉー!」
「萌夢」
「急に何?」
「俺ん家来いよ」
「なんでまた」
「久々にさ、どう?」
「やーだっ真弦強いじゃん」
「手加減はする」
「ほんとー?」
「手加減して勝ったら…何でも言う事聞くよ」
「じゃーそれはお互い様だね」
「え、なに、いいの?」
「平等主義なんで!」
「ふふっ知ってた」
坂道を通り過ぎて私の家の隣の櫻井家に着く。そう、あの櫻井マスターの息子が櫻井真弦だ。暫くして誰も居ないって分かって私は何故かこの時は変に緊張していた。思春期というわけじゃないかもしらないけど、それなりに彼の事を意識し始めていた年頃だ。彼もまた私の事をこの時は意識していたのかもしれない。
「冷蔵庫から飲み物取ってくる。なにがいい?」
「そうね、じゃあ…オレンジで」
「ん、わかった。」
前に来たのっていつだろう…彼が私の家によく来るけど私が彼の家に行くのはほんとに稀なことで、部屋も前と違ってちょっと男の子ていうより男の人っていうワンランク上っていうのもあれだけど、綺麗なお部屋だ。申し分ない。
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