1.赤い糸が繋がった日

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「…もしかして、緊張してる?」 車に乗り、シートベルトを締めてる最中に急に言ってくるものだから余計に言葉が出ない上にモヤモヤが増えてくるから私は俯きながら首を縦にふる 「萌夢はいつも通りに普通にお話とかしてくれれば大丈夫だよ、うちの両親も歓迎してくれてるし、萌夢の御両親も前に会った時はとても印象良かったみたいだし、リラックスして?な?」 「って言ってる割に愁さんの方がよっぽど緊張してるんじゃない…?顔と言ってるセリフが噛み合ってないよ?」 と必死に真顔に戻して言うとバレたかっていう表情を見せる彼を見て何故かほっとする自分に彼は 「まぁ、お互い様って事で、さ…会場に行こうか。もうみんな揃ってるみたいだし急ぐよ」 「ん、りょーかい」 「萌夢、それ」 運転の最中、彼が私の手首を見て 「俺があげたやつ…つけてくれたんだな。」 「ああ…凄く気に入って…仕事中もつけたりしてるの、とても大切に使ってるわ…ありがとう」 「ありがとうは俺の方だよ、ほんとにありがとう…なんか、照れるな…その、似合ってる」 顔をほんのり紅くして彼ははにかみながらそう言ってくれたからか、自然と緊張も解れて、思わず微笑んだ 「どういたしまして…嬉しい」 私は会場に着くまで暫く彼から貰ったブレスレットを眺めていた 暫くして車にブレーキがかかる 「さ、着いたよ。出ようか萌夢」 「はい、愁さん」 今日は会食であり、結婚前のご挨拶だ。過去の事など考えないで集中しないと…失敗なんて許されない場だからこそ私は緩んでた顔を必死に直し、車から出る。すると彼がエスコートし始める。 「愁さんエスコートしなくてもいいのよ?余計に緊張が戻ってくるんだけど…」 「ちょっとでも、よく見られたいから萌夢はエスコートされてて…」 「顔が引き攣りすぎよ?愁さんリラックスして?!」 「あ、ああ…な、なんとかする」 ダメだこりゃ…彼のなんとかするは1番当てにならないので私はいつものアレを彼にする 「…すぅッ…シャキッとせぇ!!!シャキッと!!!!!」 思いっきり背中に喝を入れ、彼をいつもの彼に戻す。…私なんかよりも彼の方がド緊張するくらいダメダメで、これでよく社長取締とかやってるなって思うとこっちが鳥肌モノで仕方ない。
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