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「ところでさ」
「ん?なに?」
自転車に鍵をかけながら彼は少し顔を紅くして言う
「その、なんだ…制服、似合うな…なんつーか、そのダボッと感が…可愛い」
「ッ…あ、ありがとう…真弦も…すんごい似合ってる…かっこいいよ」
「お、おうっ…!」
お互いに褒め合ってるとベランダからタイミングよくお母さんが邪魔してくるので私は慌てて彼に急ぐように急かす
「それじゃ…しっかり掴まれよ?」
「んっ!」
大きな坂道を勢いよく降る私達。桜並木が立ち並ぶ中、まるで雨のように桜の花びらが風と共にぶわぁっと咲き乱れる様に私達に降りかかる。
「凄い桜だね、歓迎されてるみたい!」
「そう、だなっ!前が見えにくいけどな!」
「私はそれでも好きだけどなー!春が来たよね!!」
「んだな!!!」
大きな坂道を通り過ぎたら一気に都会の街並みが立ち並ぶ。周りを見ても学生ばかりで、もう新しい季節なんだなぁっと実感が湧いてくる…って自分も新入生な訳だからそうなんだけど
「ねぇ真弦?」
「なにー?」
「同じクラスだといいね!」
「今まで同じクラスだったからな!強運に任せるしかないよな」
「そうだね!」
そんな淡い期待は簡単に砕けるなんて思ってなかったというくらいに、学校に着いて掲示板を見た時のあの絶句さは未だに忘れていない。
「ねぇ、クラス離れすぎてない?!」
「端から端じゃねぇかよ!!!!」
「おっ!そこのカップルさんクラス分けで早速絶句してますね!!!」
「幸平…」
「ま、まぁまぁまぁ!!!選択科目同じなんだし!!ね!!?」
「そうだぞ!!こんな美人のめぐ様が言ってるんだ!!元気出せみつっちゃん!!!」
「そのあだ名で呼ぶなー!!!」
「なに、真弦まだそのあだ名で呼ばれてたの?」
「知らぬが仏だ!!!」
「ふふっ残念だったなみつっちゃんよ、めぐ様と同じクラスだから今年は生きれる!!!」
「くっそ替われ!!今すぐ校長室に!!」
「?!待て待て待て!!?早まるな?!」
「あー…相当立ち直りが遅いかもあれは…」
「まぁ、ちゃんと会いに行ってやってよー?」
「ふふっそうしますよ」
まさかこの後にちょっとしためんどくさい事に巻き込まれるなんてこの当時は思ってもいなかっただろう。
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