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弟と一緒に父さんたちに知らせると、幸也立ちと同様の言葉をかけた。『うちで生きてくれてありがとう』と。
「ちゃんと埋めて上げましょうね」
もう会えないということに頭の整理がついていかない幸也は、ただ泣くことしか出来なかった。
ゆずが死んで一週間がたった。幸也はだんだんとゆずがここにいないということを、理解し始めた。
ゆずがいなくなってからは家全体が暗く見えた。
幸也は部屋から殆ど出ず、人に合わないようにした。幸人は友達とたくさん遊んで、忘れようとした。
両親はそんな二人を心配した。
そんなある日幸也が部屋に篭っていると、声が聞こえた。
「こんにちは」
「っわ!!」
初めは幻聴だと思った。それにしてははっきりとした声だった。
「だれ?」
「猫のゆずです」
「いや、猫って喋れないし、死んじゃっ…た…し」
思い出したらまた涙が出てきた。一週間たくさん泣いたのに、まだ涙が出る。
「思い出させるなよ、涙が止まんなくなる」
「それは嬉しいことだね」
「ぅれじぃとか、ふずぅはないし」
「私のために泣いてくれるんだから、嬉しいに決まってるでしょ」
もしかして本当にゆずなのだろうかと幸也は思い始めていた。以前なら絶対にこんなの信じなかったのに。何故か信じてみようと思えたのだった。
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