例えばそれが恋だとしても

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* 「・・・で?さっき何考えてたんだよ?」 帰りのホームルームを終えて席を立とうとしたら、コータが、問いかけてきた。 あ、コータって言っても名前じゃないの。 あだ名ね。光崎優汰(こうさきゆうた)だから、略してコータ。 中学時代についたあだ名をそのまま使ってるの。 大人しくって、目立たなくって、いい意味で人畜無害の典型的なメガネくんって感じ? 「別になんでもないよ」 同じ軽音部のコイツに知られたら色々と面倒そうで、軽くあしらってやった。 だけど・・・ 「ふーん」 って、なんかちょっと不機嫌? 「・・・な、なによ?」 「さっき、窓の外見てただろ?」 「み・・・見てけど?」 なんで、そんな怒ってんの? コータがあんまりにもまっすぐこっちを睨んでくるから、気まずい空気に視線が泳いだ。 教室から、一人、二人と人が減っていく。 いつも一緒に部活に行く紗里(さり)も、今日に限って風邪で欠席。 あ、また一人出て行った。 「おーい、コータ!部活行かねぇの?」 廊下から覗き込む男子生徒。 あ、西本だ!ナイス!! 「そ、そうだよ!ほら、部活行こ──」 「悪ぃ。西本、先行っといて!」 なんでよー!! ちょっと不思議そうに私たちを見る西本は、一瞬の間を置いて     
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