猫頭山

　……やれやれ。
　やけど、安心するん早かったわ。
　今度はあめのかたまりが、クロの頭からどどんと生えたんや。
　さっき、だれかが落としたんやろか？
　そのあめにむかってアリが、わらわらわらわら……

　――そういうわけで、クロ、本日二回目の丸洗いになってもたんや。
　クロ、災難やな。

　そやけど、クロの頭に残ってしもた穴、どないしたらよいやろか。また、変なもん入ったらあかんしな……

　――そんなわけで、うちな、時々クロの頭にのぼって、手入れしとるねん。

　大変やないかって？
　それがな、そないなことないで。
　ほら、猫の額ってよう言うやろ？　あっという間に終わるねん。

　で、終わったら、クロの頭の上にパラソルたてて、シート広げてくつろぐねん。
　クロののどをならす音を聞きながら、ゴロリとするの、ほんま、気持ちええで。