猫頭山

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猫頭山

「あれ? クロ、なんか変なもん、ついとるで」  数日間家出しとった、猫のクロを丸洗いしたとこやのに、クロの頭に緑色のもんがついとったんに、うちは気づいたんや。  そやから、その緑色のをひょいとつまんだんよ。それはな、何かの芽やったんよ。  なんで、そないなもんが?  うちの頭ん中、?だらけになってもたわ。で、芽はゴミ箱に捨てて、日なたで借りた本を読み出したんや。  しばらくするとな、クロがなさけない声あげよるねん。  どないしたんや、クロ。うちは本をひろげたまま、クロを見たんよ。そしたらな、クロの頭から木が生えとんのや。  木ゆうてもブロッコリーほどの大きさやけどな。  ――クロ、家出しとる間、変なもん食ったんとちゃうか? 今読んでいる本の中身、そのまんまやんか。  あれ、これ、さくらとちゃうな。なんの木やろ?   虫めがね片手に、クロの頭に生えた木を見たんよ。そしたらな、その木のまわりに猫がおってん。それも、一匹二匹やない。かなりの数や。  その猫という猫が、ふにゃふにゃになって、今のクロみたいに液体化しとるんや。  もしかしたら、マタタビやろか?     
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