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初めは、誰かに見つかるんじゃないかと落ち着かなかった一人ご飯は、今では学校にいる時間で唯一心から落ち着ける時間になった。
以前は、昼休みいっぱいの時間をかけていたお弁当も、一人で食べればあっという間だ。早々に食べ終えると、お弁当箱をバッグに戻し、うんと伸びをした。
日当たりの良いこの教室は、居心地が良い。結衣たちも誘ってみたいところだ。
今だって、本当は結衣たちと一緒にいたい。休み時間ごとに何かしら声を掛け合うものの、長い昼休みのお喋りには敵わない。
さっさと教室に戻ろうかと思い、その前に絵麻はマスクを取り出す。
花粉症のためにし始めたマスクだったが、手放せなくなった。以前から気になっていた大きな口が、隠れるからだ。
目元だけなら、案外悪くない顔をしていると思う。現にクラスメイトにも、マスクをしている方がかわいいと言われた。
口の大きさが気になって、人前ではなかなか声を立てて笑えなかったが、マスクをすれば気にならない。母親にも、明るくなったと言われた。
マスク様々だ。
だから、マスクを外したくない。
学校生活の中で、唯一外さなければならない昼食時には、こうして一人で過ごすようになった。
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