カサコと地蔵

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引越し先での荷解き等々、大体の片付けを終えて、はじめて1人で過ごす夜。 寝ようとしていた私の耳に入ってきたのは、聞きなれない物音だった。 ずりずり…ずりずり…何かを引き摺る様な、鈍くて重く響く音。 出どころは外からの様だけれど、とにもかくにもめちゃくちゃ怖い。 田舎の夜には、こんな物音がつきものなのだろうか。いやそんな事はない。昔住んでた頃だって、こんな音は聞いた事無かったし。 無視してとっとと寝る…という手もあるけれど、確認しないまま不安が残るのもスッキリしない。 1人暮らしの初試練、なんて言うとちょっと大袈裟だけれど。私は意を決し音の主を確認する事にした。 外に自分の物音が漏れない様、抜き足差し足で慎重に室内を歩く。着いた先には、自室の外を確認出来るカメラ付きドアホンのモニター。直に見に行く必要は無いなんて、便利な世の中だよね。私はピッとモニターのボタンを押した。 「!!?」 正直。モニターを見て、ホラ何もないじゃん─ そういう流れになるものだと、私は思い込んでいた。 ついさっきまでは。 「………う、ごいて、る…!?」 思わず、口に出していた。 そこにあった、信じられない光景。     
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