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言葉になっていないけれど、こんな恐怖言葉に出来ない。
「ちょ……ど、どうしたんですか!大丈夫ですか!?」
ドアをドンドンと叩かれる。
いやいやそれインターホンよりもっと怖い!
溢れ出る恐怖は涙となってどばどばと流れた。
「や゛だー!!ごわ゛い゛ぃぃぃーー!!!」
「な、何があったんですか!?今助けますから!開けて下さいカサコさん!!」
だからお前が怖いんじゃあ!!
心の中で逆ギレするが、とても相手には言えない。
というか、私の名前を呼んでくるとか更に怖い!
「………あれ?」
そこで、気付いた。
呼ばれた名前は、例のアダ名。
私を今その名前でわざわざ呼ぶ人なんて…。
「………誰、ですか?」
腰が抜けたままで動けなくて、インターホンの応答ボタンも押さずに、私は問いかけた。
普通なら聞こえないのかもしれないけれど…。
「あっ!す、すみません…私は───。」
正直。自分が考えたとおりの人物なら、きっと聞こえるのかなと。
そして聞こえたなら、自分が思ったとおりの答えが返ってくると、私は何故か確信していた。
「─さっきお参りして頂いた…あなたが小さい時に何度も傘を差して頂いた、あの地蔵です。」
ほら、やっぱりね。
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