1人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「いやー。あの時は死ぬっていうか1回死んだわ。精神的に。」
「うう…その節は怖がらせてしまって、本当にすみませんでした。」
季節は春過ぎて。私は呑みすぎて。
心地よいと思えるまでに住み慣れてきたアパートで、何も気兼ねせず美味しいご飯と酒を頂く夕食時。思い出混じりに愚痴を零すのも、酒のせいだよ仕方ない。
「でもそこから、こうやって一緒に住むなんてねー…よくよく考えるとワケ分かんないなぁ。」
そう。実は男性の姿となったお地蔵様と私は、あの日から一緒に暮らしていた。
お地蔵様が昔ばなし【かさこじぞう】の様にやってきた、私のアパートで。
小さい頃は、一つ傘の下だった私達。それが今では、一つ屋根の下。随分なステップアップを踏んだもんだと、我ながら思う。
「お友達から、とはいえ…一緒に住むのは、やっぱりご迷惑でしたか?」
そう言って、ほろ酔いの私を少し不安そうに覗き込んでくるお地蔵顔。いや正体がお地蔵様だから当たり前なんだけど。
「それ、今更言う?」
私達が同居するに至った経緯を【かさこじぞう】的に要約してみよう。
最初のコメントを投稿しよう!