カサコと地蔵

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「いやー。あの時は死ぬっていうか1回死んだわ。精神的に。」 「うう…その節は怖がらせてしまって、本当にすみませんでした。」 季節は春過ぎて。私は呑みすぎて。 心地よいと思えるまでに住み慣れてきたアパートで、何も気兼ねせず美味しいご飯と酒を頂く夕食時。思い出混じりに愚痴を零すのも、酒のせいだよ仕方ない。 「でもそこから、こうやって一緒に住むなんてねー…よくよく考えるとワケ分かんないなぁ。」 そう。実は男性の姿となったお地蔵様と私は、あの日から一緒に暮らしていた。 お地蔵様が昔ばなし【かさこじぞう】の様にやってきた、私のアパートで。 小さい頃は、一つ傘の下だった私達。それが今では、一つ屋根の下。随分なステップアップを踏んだもんだと、我ながら思う。 「お友達から、とはいえ…一緒に住むのは、やっぱりご迷惑でしたか?」 そう言って、ほろ酔いの私を少し不安そうに覗き込んでくるお地蔵顔。いや正体がお地蔵様だから当たり前なんだけど。 「それ、今更言う?」 私達が同居するに至った経緯を【かさこじぞう】的に要約してみよう。     
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