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とあるお地蔵様には、雨になると傘を差してくれる女の子がいました。でもある時から女の子は来なくなり、お地蔵様はその子がずっと気がかりでしたが、女の子は大人となって無事に帰ってきたのです。そしてその子は、お地蔵様にまずはお友達から─と、お願いをします。お地蔵様はその願いを聞き入れるべく、女の子の元へと旅立ったのでした─。
「………やっぱおかしくね?」
「ええっ!!?そ、そんなぁ…。」
本当、よくよく考えてみると中々ぶっとんでいると思う。言葉に出ていたツッコミに、お地蔵様はたいそうショックを受けた。
一緒に住んで分かったけれど、お地蔵様はやはり純粋というか、何事も真に受けるタイプだ。だからこそ、私のまずはお友達から─という言葉を受け入れた結果がこのいきなり同居生活だったんだろう。
さすが神様仏様の考える事、ただの人間にはよく分からん。
「でも、まぁいいんじゃない?」
「え?」
しょんぼり顔となっていたお地蔵様が、顔を上げる。
「友達と一緒だと、楽しいしね。」
私のその言葉に、お地蔵様がぱあっと笑顔になる。後光がさしているかの様な、光り輝く満面の笑みだ。
「…はい!!」
とはいえ、お友達から─というセリフから、お地蔵様が最終的にどこまで考えているのか、まだ分からないんだよね…同居までしか考えてない、って事も勿論ありえるんだけれど。
まぁ一緒に住んでいれば、そのうちこの不思議な友人の考えも分かってくるだろう。
そんな風に呑気に考えるあたり、私はこの生活を、彼との友人関係を楽しんでいるんだと思う。
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