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「おかえり」
「路子さん、起きていたんですか」
時計の針は午後十時を回っていた。いつもだったら路子は寝ている時間だ。
「まあねぇ。ちょっと気になっていたもんだから」
こころが今日のことをかいつまんで話す。
「なるほどねぇ」
路子は少し黙り何かを考えているようだった。康成は路子が口を開くのを待つことにした。こころも同じ考えのようだ。
「一度、会ってみたいねぇ。そうだ、康成。瑠璃さんと会って何かを感じたりはしなかったのかい」
何か。どうだったろう。
「これといって感じなかったけど。ただよく転んだり足をぶつけたりする人だなって思ったけど」
「それだけかい。まだまだだねぇ」
どういうことだろう。まだまだって。まさか、何かが取り憑いているとか。
「もしかして霊的なものってこと」
「いや、まだそうとは言えないねえ。だから会ってみたいんだよ」
何かが瑠璃を転ばせているのだろうか。幽霊の気配はなかったと思うけど。気づかなかっただけなのだろうか。幽霊じゃないとしたら、なんだ。妖怪とか。まさか、それはないか。いや、ないとは言えない。
そういえば、瑠璃のことってわけじゃないけど気になることはあったか。
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