第四話「ツキが逃げゆく足音を止めろ」

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「あのさ、路子さん、関係あるかわからないけど瑠璃さんの家で一瞬だけ何かが光った気がしたんだよ。それに何かの視線を感じた。気のせいかもしれないけど」 「なるほど、そうかい」  路子は少し口角をあげていた。なにか思い当ることでもあるのだろうか。 「それって瑠璃さんと何か関係があるのかな」 「どうだろうねぇ。やっぱりここへ連れて来てもらったほうがよさそうだねぇ。それではっきりするだろうよ」  はっきりするか。 「じゃ、瑠璃さんに連絡してみるね」  こころは早速スマホを手に取りメールを送っているようだ。 「ニャニャッ」 「おっ、キン。おまえ、小烏天狗につかまれて飛んで帰っただろう」 「えっ、そうなの。そんなことできるの」  キンの返事はない。当たり前だけど。いきなり話し出されても怖い。こころはキンの頭を撫でてひたすら「すごいね」と感心していた。 「そうか、小烏天狗と一緒にいたのかい。キンちゃんは流石だねぇ。ここへも一緒に連れておいで」 「フニャ」  な、なんだ、変な鳴き方して。そう思ったらキンがくしゃみをした。鼻がむず痒いだけだったのかもしれない。 ***
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