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狐が何か関係あるのだろうか。まさか狐が瑠璃に災いを招いている張本人なのか。災いというのは大袈裟か。
「路子さん、あの狐が悪さをしているのか。なら退治しなきゃ」
「馬鹿だねぇ。康成はまだ修行が足りないようだねぇ」
「えっ、違うの」
康成は少し考えて、そういえば悪意も敵意も感じない。康成は、先日瑠璃が見送ってくれたときのことが頭に浮かんだ。寂しい気持ちが伝わってきたことを思い出す。
あれはさっきの狐の念だったのかもしれない。
寂しいってどういうことだろうか。
「何か気づいたかい、康成」
「あの狐は寂しいのかなって」
「ほほう、いいところついているね」
「狐と話せないのかな。あいつすぐに隠れてしまうみたいだし難しいのかな」
「おいらが連れて来てやるよ」
突然の声に振り返ると小烏天狗がいた。いつの間に。キンまでいるじゃないか。そういえば路子が連れて来るように話していたと思い出す。
「シユウかい」
「路子様、お久しぶり」
シユウっていうのか。
「様っていうのはよしておくれよ。ところでハネンはいないのかい」
「いるよ、ここにいるよ」
小烏天狗がもうひとり登場した。小さくても身なりは山伏みたいな恰好だった。天狗とはやはり違う。小さくても立派な翼があるし、嘴が目につく。
「狐のことは無理に連れて来ることはないねぇ」
「そうなのか。じゃ、おいらたち必要ないのか」
「いや、天眼の力を借りたい」
天眼の力ってどんな力だろう。
「そうか、よかった。これでひとつ徳が積める。ハネンよかったな」
「うん、よかった。よかった」
「路子さん、天眼の力って何」
「おや、康成は知らなかったのかい。そうだねぇ。簡単に言ったらあらゆるものを見通す力ってことかねぇ。未来や過去も見ることができるだろう」
未来や過去を見通す。そんなのありなのか。未来は知りたいけど、見ないほうがいいようなきもする。過去も同じか。
「それでどうする」
「そうだねぇ。瑠璃さんがよく転ぶようになったきっかけのようなものを知りたいねぇ」
「お安い御用だ」
***
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