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康成たちはそのあとも瑠璃のこれまでの映像を続けて見ていた。その中に狐の念も重なって映り込んでいた。
瑠璃には見えていなかっただろう。転ばしていたのは狐だ。ただ悪戯をしていたわけではない。気づいてほしかっただけだ。稲荷神社にまた来てほしいとの狐神様の思いをどうにか叶えてあげようと眷属の狐が瑠璃に接触していた。それだけの話だ。
ついていない。そう思えばまた稲荷神社に来てくれるかもしれないとの思いもあったのだろう。けど、あれでは気づくとこはないだろう。
直接稲荷神社に来てくれとは言えないのだろうか。なにかそういうルールがあるのかもしれない。それとも眷属の狐がそう思い込んでいるだけってこともあるのかもしれない。
路子も「なるほどねぇ」と頷いていた。
シユウとハネンはニコニコしていた。
「なあ、おいらたち役に立ったか」
「もちろん、役立ったねぇ」
「そうか、そうか。それならよかった」
「ねぇ、ヤスくんも路子さんも何をしているの」
「ああ、ごめん、ごめん。ちょっとね」
「瑠璃さんを呼んだのに全然こっちに来ないんだもん」
「すまないねぇ。けど、瑠璃さんのことで話をしていたんだよ。それに瑠璃さんのこと解決策がみつかったよ」
「えっ、そうなの」
康成は路子とともに瑠璃の前に座った。
こころは瑠璃のとなりに座り、路子の顔をじっとみつめていた。
「瑠璃さん、今までついていないと思っていたことすべて原因がわったよ」
「本当ですか」
「瑠璃さんは、以前暗い感じのする稲荷神社に行ったことがあるだろう。あまり人が来ていないような稲荷神社だよ」
瑠璃は少し考えて「あっ、はい」と頷いた。
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