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「そこへまた参拝しに行くといいねぇ。そこの狐神様はきっと瑠璃の願いを聞き入れてくれるはずだよ。なるべく頻繁に行くといいだろうねぇ。願い事が叶ったらお礼参りもしっかりするといいねぇ」
「その稲荷神社へ行けば運気が上がるってことですか」
「まあ、そういうことだねぇ」
「ニャニャ」
「あら、猫ちゃん。キンちゃんだったっけ」
「おや、キンちゃんどうした。なになに」
路子はキンの口元に耳を寄せて頷いている。
「そうかい、そうかい」
「路子さんは猫の言葉がわかるんですか」
瑠璃の問いかけに路子はニコリとする。
「なんとなく、わかるだけだよ。本当にそう話しているのかはわからないけどねぇ」
「それで、なんて言ったんだ。キンは」
康成はキンと路子を交互に見遣り答えを待った。
「それはねぇ。キンちゃんが、今回は出番がなくてつまらないってさ」
路子はそう話して大口を開けて笑いはじめた。
はたして本当にキンがそんなことを話したのだろうか。それはわからないが康成はキンがそう言いそうな気がしていた。
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