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瑠璃は稲荷神社へ来ていた。
『ご無沙汰です。狐神様、お元気ですか。今後、こちらに月一回くらいは参拝に来たいと思っています。それでもかまいませんよね』
瑠璃はそう心の中で語り掛けると、心地よい風がどこからか吹いてきて社からカタカタとの音を耳にした。狐神が返事をしたのだろうか。瑠璃はそう思うことにした。
『あの、もしかしたら年の離れた友達ができたのも狐神様が縁をくれたのでしょうか。そうですよね、きっと。ありがとうございます。あのよくばりかもしれませんが、できたら人生のパートナーもなんて思っているんです。いい人との縁をもらえないでしょうか。よろしくお願いします』
瑠璃は思い切ってそう告げた。
再び心地よい風が瑠璃の髪を撫でていった。そのとき、社が一瞬光ったように感じた。気のせいかもしれないけど。
なんとなく素敵な人に出会えるような予感がした。
路子の言葉が脳裏に蘇る。
「お稲荷さんに好かれればきっと願いを叶えてくれるはずだねぇ。けどね、嫌われると怖い存在になるから気をつけるんだよ」
きっと大丈夫。
最初きたとき、ここが暗く感じたけど今は少しだけ明るくなった気がするから。
そうだ、人生のパートナーよりも仕事みつけなきゃ。そっちをお願いしたほうがよかったかも。ハローワークにでも行ってみたほうがいいのだろうか。
「ニャニャッ」
「あら、キンちゃんも参拝に来たの」
「ンニャ」
今の返事は、なんて言ったのだろう。
「もしかして、私のことを心配して来てくれたのかな」
キンは返事をせずに尻尾を揺らすだけですぐにどこかに行ってしまった。いったい何をしに来たのだろう。本当に不思議な猫だ。神社にいる猫だから何か普通の猫と違うのだろうか。神社の猫か。
そうだ、久々に神社仏閣巡りするのもありかも。
***
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