49人が本棚に入れています
本棚に追加
康成は智也のいる神成荘にお邪魔していた。
「どうやら、小烏天狗のおかげでうまくいったようだな」
「ああ、これで瑠璃さんも運が向上するんじゃないかな」
「そうだな」
「ニャニャ」
「んっ、キン。どうかしたか」
キンがじっとみつめてくる。鋭い目つきのキンにみつめられると怒られている気分になるのは気のせいだろうか。
そう思っていたらキンが近づいてきていきなり腿に手を乗せてギュッと爪を突き立てた。
「いて、いて、な、なんだよ急に」
「フニャ」
なんだ、本当に怒っているのか。なにかキンを怒らすようなことをしただろうか。身に覚えはない。
「智也、キンが何を言おうとしているのかわかるか」
「さあな」
「さあなって。神様なら動物の言葉もわかるだろう」
智也はニヤリとして「しかたがないな。キンはまだ終わっていないのにのんびりするなと言いたいのかもな」と口にした。
終わっていない。そうなのか。
瑠璃は稲荷神社に行くって話していた。きっと狐神様も見守ってくれるだろうし大丈夫だと思うけど。
「キン、まだやることがあるのか」
「ニャニャッ」
これはあると言っているのだろうか。智也に顔を向けるとまたニヤリとした。
「キンはどうやら瑠璃にしてやりたいことがあるみたいだぞ。んっ、瑠璃だけじゃないって。ほほう、そりゃいい」
なんだ、いったい何を話している。
「智也、僕にも教えてくれよ」
「すまん、キンがあとのお楽しみにだって」
なんだそりゃ。あとのお楽しみって。
「あっ、キン。どこ行くんだ」
突然キンはスタスタと歩き出した。ついていくべきだろう。
最初のコメントを投稿しよう!