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「そういえば、どこか行く用事があったんじゃないんですか。敏文さんの家はこのへんじゃないですもんね」
「どこへってわけでもないんだけど、ちょっと猿田さんにお参りにでも行こうかって思ってね」
「そうなんですね。なら一緒に僕も行こうかな。そうだ、ついでに路子さんのところにも寄って行ってくださいよ」
「そうだね。せっかくここまで来たんだからそのほうがいいね」
「賛成」
麻帆がニコリとして同意する。
「じゃ、猿田神社に行きますか」
しばらく歩くと鳥居が見えてきた。
石段を見上げて気持ちが萎える。意外とこの階段は辛い。運動不足だと言われればそれまでだけど。
「あっ、キンちゃんすごい」
気づくとキンが階段を駆け上がってすでに見えなくなっていた。なんだ、あいつ元気じゃないか。それとも、ここの神社の気を浴びて回復したのか。いや、そんなことはないか。でも、さっきまで結構だらけて夏バテ気味に見えたし、そう考えると神様の気が関係あるのだろうか。ここの神社に飼われている猫だし、ありえないとは言えない。実際のところはわからないけど。
まあ、鳥居を潜った時点で心地いい風があって涼しくはある。きっと何かしらの影響はあるだろう。ただ階段で息が切れてしまう。このままじゃ若いのにだらしがないなと思われてしまう。気合を入れて一気に上れ。
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