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「ゆっくり探すことにするよ。」
そのうち適任が見つかるでしょ、と言うお嬢様に対し、まったく、とスヴェンはため息をついた。
「ちなみに、お伺いしたいのですが、お嬢様は何故風を属性に選ばれたのですか?」
属性は相性もあるが、お嬢様ほどの魔力があれば、どの属性を選べたはずだ。
風は最弱と言われる魔法で、第一属性に選ぶ人は滅多にいない。
まぁ、俺も第一属性は風だから、人の事は言えないが。
「あー、いやぁ、それは」
お嬢様は歯切れ悪そうに答えた。
「空を飛びたくってさ。」
「空を?」
「うん、空っていうさ、空中を飛びくてさ。」
「飛ぶだけなら、第二属性でもよかったろうに。」
スヴェンが不思議そうに言った。
「まぁ、そうなんだけど、そうこう風を操ってるうちに、それが得意になっちゃってさ。本当は水が良かったんだけどね。私、海が好きだしさ。でも、相性が悪かったのかな。水の方は修行してやっとって感じ。」
海が好きだから、水属性を選ぶというのもどうかと思うが、鍛練を積まずしてあれだけの風を操ってみせるのは我が主(あるじ)ながら恐ろしいものだ。
「スヴェン、今度さ火の魔法教えてよ。私すっごい下手でさ。」
「エリアスに頼めばいいだろ。」
「いやぁ、何かに燃え移ったときにさ、消す役がいるじゃん?だからさ、」
だから、水も火も使えるスヴェンに、か。なるほど。
俺が納得している横でスヴェンはため息をついた。しかし、 まんざらでもなさそうだ。
「私はお前ほど暇ではない。いつにする。」
「やったー!ありがとう!えっとねー、、、」
こうして平和な1日は終わっていく。
ずっと、お嬢様が笑顔でいられますように。
ナイトは心の中で願った。
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