1人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
「いよいよ来週か。早いものだね」
彼女が言った。
「……そうだね。もう、来週、か」
しみじみと、僕は答えた。
早い。
あと一週間が、早いか。
先程までは、あまり実感していなかった。
僕たちの卒業式まで、あと。
三月もまだ半ば程度と言う日付には、まだ猶予を感じていた位だったのに。
桜が。
彼女の髪に付いた桜が。
もう咲く時期なのかと、否応なしに意識させた。
言葉を交わす間も、ずっと気になっていた。
……その花びらを取ろうと、手を伸ばしても良いのだろうか、と。
最初のコメントを投稿しよう!