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プロローグ
視界が霞む。
口の中で血の味が広がる。
脳が立ち上がれと言うが身体が動こうとしない。
少年の心が魔王を倒せと叫ぶが身体が動かない。
目の前で魔王の攻撃を防いでいる少女を助けろと叫ぶが石の様に身体が重い。
すると目の前の少女の魔力で造られた盾が破壊され少女が悲鳴を上げ吹き飛ばされる。
魔王がニヤリと笑う。
「死ね勇者達よ! 」
魔王が叫ぶと魔王の手から黒い魔力弾が放たれる。
しかしその魔力弾は彼等に届くことはなかった。
何故なら先ほどまで倒れていた少女が再び立ち上がり自らの身体を盾にし魔力弾を防いだからである。
魔力弾が消えると少女が倒れていた。
少年は重い身体に鞭打って少女の元に行く。
「おい!大丈夫か!」
すると少女が弱々しく答える。
「ああ、……ル、私死ぬんだね…… 」
「馬鹿っ 喋るな! 」
しかし少女は話し続ける。
「私ね、皆んなと旅が出来て良かった、最後まで皆んなの盾になれて良かった、だからね……ル 」
少女は強く優しい声で少年に言った。
「貴方が魔王を倒して、そして世界を救って。」
そう言ってから少女は微笑みながら死んだ。
少年は少女の身体を抱き締めながら泣き叫ぶ。
すると魔王が冷徹に言う。
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